貿易用語集

貿易用語集(あいうえお順)

根本的な貿易用語をできるだけわかりやすく説明してみました。
少しでも皆様のビジネスにお役にたてれば幸いです。

あ行

アイソコンテナ(Tank Container, Tanktainer, ISO Container, Isotainer)

タンクコンテナ参照

揚げ地(Port of Discharge)

国際輸送をした貨物を荷降ろしする海港、空港などのこと。

アメンドメント(Amendment)

信用状(L/C)が発行された後、その信用状の条件等を変更すること。原契約との相違、内容の不備、記載誤り、買取り書類作成上の不可能項目等について修正・訂正を行う必要がある場合に行う。一般的に発行される信用状は全て取消不能信用状(Irrevocable L/C)であるので、たとえ信用状中に明らかな誤りがあった場合でも、信用状の受益者(通常は輸出者)の同意なく、発行依頼人(通常は輸入者)が一方的に訂正、修正を行うことは出来ない。入手済みの信用状の内容に不備等ある場合、輸出者は確実に輸出代金の回収をはかるため、船積実施前に輸入者に当該個所のアメンドメントを求める必要がある。

異議申し立て

関税法その他の税法に関する法律の規定により、税関長の処分について不服のあるものが、その処分の通知を受けてから2ヶ月以内に行うことのできる不服申し立てのこと。異議申立書を受け取った税関長は、その処分が正しかったかを調査し、その結果を決定書謄本で申し立てた人に通知する。

委託加工貿易(Processing Deal Trade)

委託者が原材料などを提供し、受託者によって加工を行い、加工されたその製品を輸入する貿易形態のこと。受託者が日本の場合(製品を日本から輸出)は順委託加工といい、委託者が日本の場合(製品を日本へ輸入)を逆委託加工という。

一覧払い(At Sight)

商品代金の決済方法で、支払い者が手形の提示を受けたとき、直ちに代金を支払う方法である。原則、輸入者はこれを決済しないと銀行から船荷証券(B/L)を含む船積書類を受け取ることが出来ず、商品を手にすることが出来ない。

一般特恵関税制度(GSP, Generalized System of Preference)

南北問題解決の一手段として、先進国が開発途上国から輸入する一定の農水産品、鉱工業産品に対し、一般の関税率よりも低い税率(特恵税率)を適応することによって、開発途上国の工業化と経済の発展を促進する国際的な制度である。国際貿易開発会議(UNCTAD)において1970年に枠組み合意がなされ、日本では1971年8月から実施されている。

一般特恵関税制度原産地証明書 様式A(GSP Form A)

フォームA参照

一般取引条件(General Terms and Conditions)

自社の全ての取引に適用する契約条件のこと。
注文書/注文請書などの契約書の裏面に記載されることが多く、しばしば表面に「裏面の内容を契約の前提とする。裏面とともに契約内容を構成する。」などと記載されている。

インコタームズ(Incoterms)

各国の商習慣の違いによって発生する取引上の誤解、紛争などを防止するために国際商業会議所(ICC = International Chamber of Commerce)が1935年に制定した貿易条件の解釈基準に関する国際規則。正式名称は”International Rules for the Interpretations of Trade Terms”。任意規則であるためそれ自体に強制力は無いが、当事者間でインコタームズに準拠する旨の合意をしておくと当事者間においては拘束力を有する。加除修正を繰り返し、現在は4類型11条件に分けて定義した2010年度版(インコタームズ2010)が最新版である。但し、過去の分が無効になったわけではないので、契約時に何年版を適用するのを明記することが望ましい。
以下に、「インコタームズ2010」が規定する2つの分類と11項目の取引条件を示す。
 略称取引条件
(1)あらゆる輸送形態に適した規則
(Rules for Any Mode or Modes of Transport)
EXWEx Works工場渡し
FCAFree Carrier出荷地運送人渡し
CPTCarriage Paid To 輸送費込(運送人渡し)
CIPCarriage and Insurance Paid To輸送費・保険料
(運送人渡し)
DATDelivered at Terminalターミナル持込渡し
DAPDelivered at Place仕向地持込渡し
DDPDelivered Duty Paid仕向地持込渡し 関税売り主負担(関税込み)
(2)海上および内陸水路輸送のための規則
(Rules for Sea and Inland Waterway Transport)
FASFree Alongside Ship本船船側渡し
FOBFree On Board本船積込渡し
CFRCost and Freight運賃込(本船積込渡し)
CIFCost Insurance and Freight運賃・保険料込
(本船積込渡し)

インターバンク取引(外貨)

外国為替市場での銀行間での通貨取引のこと。
ここで適用される為替レートを「インターバンクレート(銀行間取引相場)」という。

インターポート(Interports)

近い港の意。日本では、極東、東南アジア域内の諸港または近海のことをいう。

インテグレーター(Integrator)

国際運送・物流業者のうち、貨物の集荷から国際輸送、配送に至るまでのDoor to Door運送を自社の経営資源のみで一貫して行うもののこと。広範囲にわたる輸送ネットワークを構築するため、航空機や集配車、仕分けターミナルなどの大規模な設備投資が必要となる。FedEx(アメリカ)、UPS(アメリカ)、DHL(ドイツ)、TNT(オランダ)などがこれにあたる。

インボイス(Invoice)

輸出貨物の品名、数量、価格、契約条件、契約単価などを記載した明細書と請求書を兼ねる書類のこと。貿易取引において、船荷証券(B/L)と並ぶ最重要書類の一つ。輸出時及び輸入時の貨物通関手続きなどにも不可欠な書類である。以下の種類がある。
商業送り状(Commercial Invoice)
売主(輸出者)が、買主(輸入者)にあてて発行する貨物の明細を記した書類で、出荷案内書、納品書、物品明細書、価格計算書及び代金請求書などを兼ねている。
貨物の品名、数量、単価、金額、本船名、船積日、船積港、仕向港などが記載されている。
プロフォーマインボイス(Proforma Invoice)
見積り送り状と訳されることもあるが、一般的なビジネスの現場では買主(輸入者)から注文書や注文の内示の受領後に売主(輸出者)が価格その他の契約条件を記載して発行する。買主はこの書類を確認した上で、銀行送金やL/C開設の手配をする。従って日本語のイメージでは、見積り書ではなく注文請書に近い。
カスタムズインボイス(Customs Invoice)
輸出通関時に輸出申告の為に発行する税関用インボイス。
領事送り状(Consular Invoice)
輸出品の価格などの正当性を証明するために、輸出国に駐在する輸入国の領事が輸出者の作成したインボイスや原産地証明書などに査証(ビザ)するもの。輸入国で関税の公正な徴収や統計資料作成などの目的で用いられる。近年では廃止される傾向が多いが、中東、アフリカ、中南米の諸国などで輸入時の通関時に必要とされる国が残っている。領事の査証には費用と手間がかかるため、船積日の変更などによる書類の内容変更などの際は悩ましい問題となる。

インポーター(Importer)

貨物の輸入者のこと。

インランドデポ(Inland Depot)

海港や空港の周辺地域以外の内陸部にある保税地域である物流拠点のこと。内陸地域の経済国際化、貿易振興などの目的で地方自治体などが整備している。保税蔵置や通関が出来るため、輸入したコンテナを港でデバンニングせずここまで保税輸送し、デバンニングすることなどが出来る。

ウェイビル(Waybill)

シーウェイビル参照

受取船荷証券(Received B/L)

船荷証券において、貨物が積地港の船会社コンテナヤード(CY)又はコンテナフレートステーション(CSF)にて受け渡しがされた時点で発行される船荷証券(B/L)のこと。これに対し、実際に貨物が本船に積み込まれた後に発行される船荷証券(B/L)を船積船荷証券(Shipped B/L又はOn Board B/L)という。一般的に、船荷証券に細かく書かれた英文がReceivedで始まっているものは受取船荷証券であると判断出来る。貨物が実際に船積みされた後に、船会社が積み込まれた旨(On Board Notation又はOn Board Endorsement)を船積み日と署名とともに追記し、これをもって船積船荷証券と同一効力とみなされる。

上屋(うわや)(hed)

主に港湾にて輸出入貨物の荷さばきや一時保管を行う倉庫。保管を主な目的とする倉庫と異なり、その蔵置期間は一ヶ月以内である。

運賃着払い(Freight Collect)

B/L上の荷受人が運賃を支払う方法のこと。

運賃同盟(Freight Conference, Shipping Conference)

同一航路に定期船を就航させている海運業者が、相互の競争を調節制限して相互の利益を維持増進するために、運賃等について協定をする国際カルテルのこと。運賃同盟に加盟している船会社の船舶を同盟船と呼び、加盟していない船舶を盟外船と呼ぶ。近年では同盟に拘束されることなく船会社と荷主の交渉によって運賃が決定される傾向にある。

エアウェイビル(AWB, Air Waybill)

航空運送状参照

エアフレートフォワーダー(Air Freight Forwarder)

航空輸送を専門に扱うフォワーダー

エルジー(L/G, Letter of Guarantee, L/I, Letter of indemnity)

貿易取引において、当事者間の一方にとってリスクがある行為を行う折に、もう一方がその損害を賠償する旨を約する保証状。
輸出取引で船会社に船荷証券(B/L)の内容変更を依頼する時、信用状(L/C)決済における輸出取引で船積書類と信用状の内容に不一致(ディスクレ)があるにもかかわらず銀行に買取りを要請する時(L/Gネゴという)や信用状(L/C)決済における輸入取引で船荷証券(B/L)原本の到着前にもかかわらず船会社から貨物の引き取りを要請する時などに差し入れる。

エルジーネゴ(L/G Negotiation)

信用状(L/C)決済における輸出取引で船積書類と信用状の内容に不一致(ディスクレ)があるにもかかわらず輸出者が銀行に買取りを要請する時、信用状買取銀行に対しエルジー(L/G, Letter of Guarantee)を差し入れて行う買取方法。エルジーネゴの場合、信用状発行銀行には支払義務はないため、信用状買取銀行の視点から見て輸出者の信用力が十分あり、不一致(ディスクレ)の内容が比較的軽微な際に用いることが可能となる。輸出者の視点から見ると、輸入者に十分な信用が置ける場合以外はエルジーネゴを極力避け、信用状(L/C)記載通りの書類をそろえるべきである。

オープントップコンテナ(Open Top Container)

コンテナの屋根に取り外せるシートが張ってある特殊コンテナのこと。コンテナ上部からの荷役が可能であり、コンテナ横のドアからの搬出入が困難な長尺物や嵩高物の輸送に適している。コンテナ本体より高さのある貨物を積載することも出来る。

オールリスク条件(All Risks, A/R)

貨物海上保険において最も一般的にもちいられている保険条件で、事故に対して広い範囲の危険を担保する。ただし、特約が無い限り、戦争、内戦、ストライキ、輸送の遅延、放射線汚染、梱包の不完全、貨物の性質による損害、故意による損害、などは対象外である。オールリスク条件は、1963年に作成された旧協会貨物約款の保険条件であり、2009年作成の新協会貨物約款(ICC, Institute Cargo Clause)では”Institute Cargo Clause A”がオールリスク条件に最も類似している。

乙仲(Forwarder, Custom Broker)

一般的には海貨業者(かいかぎょうしゃ)のこと。荷主の依頼を受け、港で輸出入通関、荷役などを行う。由来は、1939年制定の旧海運組合法にある乙種海運仲立業の略である。

オファー(Offer)

輸出契約に先だって、売主が買主に出す見積りのこと。買主が売主に見積り依頼することを引き合い(Inquiry)といい、通常、買主の引き合いに対して売主がオファーを出す。